斬殺天使は二度ベルを鳴らす
ゆさゆさゆさゆさ。
夢と現の境目を誰かが揺らしている―
誰?
これは誰の手?
暖かい―
手
◇ ◇ ◇
「なつき、なーつーきぃて!」
「一度も鳴らさなかったじゃないか・・・ムニャムニャ・・・」
「何の話やの、もう。起きて。起きて下さい」
「郵便配達屋すら出てこない・・・ん?」
「あ、起きた」
薄く開いた瞳に飛び込んできたのは、シズルの笑顔だった。
学校から帰って、ベットに寝転んだ時には夕日に照らされていた部屋はすっかり暗くなっている。
もう夜なのか―
それともこれは朝か―
時間の感覚もないままに、なつきは身を起こした。
「・・・なん、だ?」
「お夕飯どすえ」
「・・・そうか・・・今・・・行く・・・」
「よう寝たはりましたなぁ。夜、眠れんことなりますえ?」
嗜めると言うよりは、どこか楽し気な口調で言うと、シズルは部屋を後にした。
まだぼんやりとする視界でシズルを見送ると、なつきはかしかしと頭を掻いた。
何かおかしい気がする―
だが、それは何だろう?
わからない。
わからないが、たぶん大したことではないだろう。
そう踏んだなつきはゆるゆると布団を抜け出した。
シズルが消えたドアの向こう側は、暖かい光に満ちている。
夕餉の匂いも、何かが煮える音も、暖かくなつきを包んだ。
いつかどこかで感じていた温もりに似ている。
たぶんそれは―まだ母が生きていた頃の記憶だろう。
胸の辺りにどこか懐かしく暖かい気持ちが広がってゆくのをなつきは抑えることができなかった。
このこと、シズルに話してやろうか―
まだふわりとした思考の中で柄にも無いことを考えながら、なつきはキッチンへと向かった。
◇ ◇ ◇
「なつき、もう御飯よそってもええ?」
「・・・あぁ」
「どんくらい?」
寝室からのそっと現れたなつきの姿を認めると、シズルはキッチンを忙しなく動き、何のかんのとなつきの世話を焼き始めた。
「・・・普通」
視界の端にシズルの姿を捉えながら、なつきは席につこうと腰を―
「―って!おいっ!!」
下ろさなかった。
いや、下ろせなかったと言った方が正解か。
「どうかしたん?」
テレビの中の芸人がするように、座りかけてまた立ち上がったなつきに、にっこりと微笑みながらシズルが振り返る。
きらきらと輝くその瞳は、期待に満ちていた。
「どうしたもこうしたもあるきゃっ!何だその格好はっっ?!」
「裸スクール水着エプロン♪」
怒気を含みすぎて裏返ってしまったなつきの声と、嬉しそうに自分のいでたちを説明するシズルの声には明らかな温度差があった。
それが更なる怒りを呼び起こし、なつきはアドレナリン色に染まった声でまくし立てた―
「説明なんかいらんっ!脱げっ!」
―てゆうか、着ろ!!
と言おうとした、なつきの言葉を遮って、シズルが新たな爆弾を投下する。
「もうせっかちさんなんやからぁ、なつきは♪決め台詞がまだどすえ?」
「はぁ?!決め台詞?!」
「なつき―ご飯にします?お風呂にします?それとも―」
うち?とでも言うつもりか・・・
なつきは頭を抱えた。
だが、もじもじと恥らうシズルの口から出た言葉は、なつきの想像の斜め上―彼方遠くを行く突拍子もないものだった。
「マヨ?」
「へ?」
内容も発音も間抜けだが彼女にとっては魅惑的なその一言に、すっかり毒気を抜かれたなつきに向かって、にこにことシズルが問いかける。
「どれにします?」
「じゃ、じゃぁマヨで」
しかし、なつきの答えを聞いたシズルの表情はみるみる曇ってゆき、ついにはうつむいてしまった。
「・・・・・・」
「し、シズル?」
さすがにまずいと思ったなつきは、シズルの肩に手を掛けてその表情―
うつむいて落ちた前髪によりシズルの顔の上半分は暗く落ち、そこには獲物を見つけたサバンナの肉食獣のようにギラギラした瞳があった。
を見た瞬間逃げ出した。
殺される。
確実に殺される。
死への恐怖でいっぱいのなつきの耳に、ちゃきっとエレメント―斬々候―を構える音がやたらと大きく響いた。
リビングに向かって逃げるなつきの背中に向かって、シズルは口に手を当てると―
「う〜ら〜ら〜!う〜ら〜ら〜!」
と、不可解な文言を叫んだ。
途端になつきの体は砂塵に包まれ、その場から動くことができなくなった。
「ちょっ、待っ!やめっ―砂になって消えてしまっ―」
懇願するなつきが砂になって消えてしまう前に、シズルの大きく振りかぶった斬々候がその細い首を捕らえ、薙いだ。
「へぶしぃっ―」
胴体と切り離され、ランテブー飛行を始めた頭でなつきは考えた。
一瞬でもシズルがいることに温もりを感じていた自分はなんてバカなんだろうと。
「なつき!?あぁ、大変や。どないしよ」
3秒前のことは忘れてしまう鳥頭なのか、心配顔で駆け寄ってくるシズルであった。
「は、はやく人間になりたい・・・」
ソファの上にごろんと転がった頭で、なつきがシズルに告げると、シズルは手にしたエレメントをぐるぐると回し―
ぶぶ漬けぶぶ漬けしずるるるー!
一昔前の魔法少女のようなだっさい呪文を唱えた。
呪文はだっさかったが、ソファの上できちんと人間になれたなつきはシズルに向かって叫んだ。
「シズル!ここに座れ!」
「はい♪」
自分の隣に楽し気にちょんと座るシズルに、なつきはさらに怒りを爆発させた。
「どうして私が斬殺されなければならないんだ!!」
「マヨかうちかやったらうちですやろ?」
「言ってる意味はよく分からんが、とにかくすごい自信だ―とか、言ってる場合じゃない!そんな選択肢なかったじゃないか!」
「のうても、“こいつぅ!シズルはお茶目さんだな”なんて言いながらおでこつーんとかして、”お前に決まってるだろ”とか言うもんやろ?」
「いやいや、なんだそのベタな新婚夫婦は!!なんの漫才だ!?ご飯と風呂とマヨだったら迷わずマヨだろう!?」
「迷わずマヨ?なつきは上手いこと言うたつもりなんかもしれんけど、その洒落つまらんわ」
心底がっかりした表情でなつきを見るシズル。
どうやら笑いにはうるさいらしい。
だが、冗談を言ったつもりなどないなつきにとってはシズル発言は、怒りの炎に油を注ぐ結果になっただけであった。
「論点がズレてるじゃないきゃっっ!そもそもお前のその格好はなんだ!!」
「せやから裸スクール水着エプロンどす。裸エプロンとスクール水着を足して2で割らんとこが萌えのポイントやね♪」
「違う違う!なんでそんな格好をしているのかを訊いているんだ!!」
「それは、なつきが―」
「私が?」
「なつきがマヨちゅっちゅっを止めてくれんからや」
「それと、お前のその格好に何の因果関係があるって言うんだ!!」
「マヨやのうてうちを吸えばええと思うて、舞衣さんに相談したら、萌え装備で悩殺したらええって」
「舞衣のやつ・・・い゛〜ら〜な〜い〜こ〜と〜をぉっっ!!」
明日学校で会ったら、お節介が過ぎる友人のあほ毛をブーメランみたいに飛ばしてやると思ったなつきであった。
ぐぬぬっと拳を握り友人に対し怒るなつきであったが、今は目の前のシズルをどうにかするのが先決だった。
いくら斬殺されようが、マヨだけは死守しなければならない。
なつきの決心をよそに、シズルの論理は続いて―
「マヨは一杯吸うたらメタボになりますけど、うちならいくら吸うても―」
「なんだ?!下らない事言ったら叩き出すぞ!!」
「習慣性がついて、吸われへん時はイライラし始めますな。所謂シズちん中毒やね。けど、大丈夫。うちが側にいて吸いたい時はいつでも―」
「さっきから突っ込まなかったが、吸うってなんだ吸うって!!吸うなら、マヨだ!どう考えても!!」
「せ・や・か・ら!タバコを止めたい人が口寂しい時に、キスして紛らわしたらええとか言うやない?」
「バカかお前は!いつ、私がマヨをやめたいって言ったんだ!!」
「うちを吸うてる間は、マヨのこと忘れられるやろ?やから、うちは、なつきがうちにメロメロになるようにってこんな格好をしとるんどす♪」
「メロメロって何だ?!おい!人の話を聞け!私はお前を吸わないし、マヨも止めない―」
「メロメロ言うのは、こう言うことどす!」
何を思ったか自己完結したシズルにいきなりソファに押し倒され、何故か“なつきが”吸われ始めた。
「ちょっ、しずっ!うぁっ!メロメロじゃなくて、その前の・・・話を、聞けと・・・んぅっ・・・私は・・・あんっ!」
「はぁっ、なつきぃ♡野暮な話は後♪後♪」
「あっ・・・胸は・・・だ、め・・・いーーやーーーー!」
私の名前は玖我なつき―
マヨネーズが大好きな高校2年生。
これは、過剰な愛情が紡ぎ出す痴情がもつれる物語―
自業自得なんですが、先日「ここにコメントしないで」と書いてからぴたっとコメントが止まってしまいました(゚Д゚;≡;゚д゚)あれは、千葉さんの件に関してはと言うことなので、他のことなら全然して下さい。真面目にウェルカムです(*´∀人)
ほんと毎回、拍手・コメントありがとうございます。本気で嬉しいです。また気が向いたら、ぽちぽちと叩いて下さいね(*^-')ゞ
では、続きは各種お返事です。長い間お待たせしてしまって、申し訳ありませんでした。
8/27
神城さん
お疲れ様でした。こちらこそ、大変お世話になりました(*´∀人)捏造設定ですが・・・堪忍な(´∀`人)「先っちょがびん☆かんだから」は、私が誘導尋問で言わせたんでしたね〜´`,、( ´∀`)´`,、(←反省が見えない・・・)京都は、メールした通りです。てか、前回の続きを存分って・・・もう、みんなには内緒って言ったでしょ?(←と、火に油を注いでみる)そ〜ですね〜、Aice5解散記念(?)に、それぞれのCPの萌え所とか詳細にやってみますか。でも、私に近づくと人から『天竺は遠い(ヲタ過ぎる)』とか言われるんで、止めておいた方が・・・
8/28
WEB拍手でコメントして下さった方々へ
心がちくりと痛むので、見ないよう見ないようにしていたところメッセージを流してしまいました。(14日以上の履歴は消えてしまうのです)申し訳ありません。以前書きました通り、それはみなさんのせいではありません。コメントを読むと思い出して胸に痛みはあったものの、こんな風に思っているのは一人ではないことが分かって嬉しかったのもまた事実です。そして、あの方の人生はやはりあの方自身で決め作って行くもので、私たちはそれに笑っておめでとうと言うべきかなと思います。今はまだ頭で理解するしかできてませんが、時が経てばきっと心から祝福できると思います。未だラジオなどで彼女の聴くことができませんが、新しい段階に踏み出した彼女が今後どのような人間的魅力を得、活躍をしていくのか見守りたいと思います。まとまっているようないないような、またみなさんに対するお返事になっているのか分かりませんが、これが今の私が言えることの全てです。本当に今回はメッセージ流してしまってごめんなさい。今後、このようなことがないよう何があっても動じない強い心を持ちたい・・・んですが、そうすると人間らしくなくなる気もしますね^^;コメントを頂けることは大変嬉しいので、また気が向いたら書いて下さい。二度と流さない!!と、心に誓いましたんで、今回のことは許して下さい^^;
> 長澤さんお誕生日おめでとうございます。千葉さんの結婚については、私はかなりのショック(ダメージ)を受けています・・・(泣 (2007/08/28 19:40:47)
どうもありがとうございます。泣かないで!私はいまだに立ち直れていませんが・・・あはは。嗚呼・・・いつになったら、千葉さんのラジオ聴けるようになるだろう・・・
>テツ : あたしもめっちゃ複雑な気分でした・・・でも千葉大好きだ!おめでとう!相手は誰ですかねぇ? (2007/08/29 22:29:28)
何て言えばいいのかしら・・・兄弟姉妹が結婚した時に、「盗られた」みたいな複雑な心境になると聞きましたがそんな感じなんでしょうか・・・相手は・・・男だと言う時点で興味を失ってしまいました^^;が、素敵な人だと信じたい・・・
8/30
るーさん
お疲れ様でした。え〜、私こそ勝手なキャラ設定とかしてしまって申し訳ないです。つい、おもしろに走ってしまって^^;クッキーおいしく頂きました。私は、お菓子など作ったことのない女の子らしくない子なので、超尊敬です(-_-;)次回ですが、京都になるんでしょうか?色々頑張る・・・な、何を?私、見た目ほど豪快な人間じゃないので・・・お、お手柔らかに(*´∀人)こちらこそ、また構ってくださいね(・∀・)人(・∀・)
9/02
>15:42 三十路おめでとうございます。三十路もなんかなってみると、楽しいものです。
どうもありがとうございます(´∀`*)ほんとですね〜。三十路になって何が変ったかって、よりダルい人間になったかなと。ある意味、力の抜け方が二十代の頃より心地よかったりします(*^-')ゞ
>くじら : お久しぶりです&お誕生日おめでとうございます!!…ちょっとすぎてますけど気にしない!き、気持ちが大事 (2007/09/02 22:35:35)
お久しぶりです&ありがとうございます(´∀`*)過ぎてても、わざわざコメントして頂いてとても嬉しいですよ!わ、私こそいぬっき〜にいつも癒されているのに、コメントも差し上げなくて申し訳ないです^^;気持ちが大事・・・うん、これからは遅くなってもコメントするようにしますね(*^-')ゞ
- 2007/09/09(日) 23:53:46|
- お返事
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| コメント:1
こんにちは。はじめまして。ここに書き込んでもよかったのでしょうか^^;;
先月になって今更、なつナツへの愛をこじらせてしまい、あちこちさまよっております。
テレビアニメのシリーズほとんど見てない。コミケにいったこともない。
関連商品買ったことがない。オタク心を嫁にばれるのが怖い。
そんな私ですがどっぷりことハマってしまいました。
存在すら知らなかったCDドラマとか生まれて初めて買っちゃいました。
なつき可愛いよナツキ!しずるさんもなおちゃんも!
なつナツにはまると、静シズにも奈緒ナオにもはまりますよね!?そういうものですよね先輩!
これだけ遅れると、世間はもう冷めてるかと思いきや、
こちら様のようなまだまだ愛に満ちたブログが更新され続けていて、うれしくてたまりません。
ブログ楽しませていただいております。いましばらく、いやもっとずっと続けて下さいね!
- 2007/09/11(火) 02:38:22 |
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- ジプ #3/2tU3w2
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