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紫の水晶宮(Я18)

つれづれなるまゝに日ぐらし硯(PC)に向ひて心に移り行くよしなしごと(妄想)を、そこはかとなく(だらだらと)書きつくれば、怪しうこそ物狂ほしけれ(私の脳みそはもうだめだ・・・)

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あい④(終)

おいしそうにあぐあぐとなつきの体毛を飲み込むと、満足したのか、パープルスネークは再び臨戦態勢に入った。
遥と雪之をねめつける様に頭を動かし、きしゃーと威嚇する。

こんなチャイルドに勝てる気などしないけれど―
いつでも自分の前に立ち、どんな相手にでも立ち向かいってくれた遥―
私は、そんなあなたを―

護りたい。

雪之は遥の前に出ると、愛し子の名を呼んだ。

「出歯亀っっ!」

HiMEの紋章が光り、雪之に応えて地中からチャイルドの触手がパープルスネークへと伸びていった。

一閃

静留が薙刀を振るうと、その刃が敵を攻撃する蛇のように伸び―
出歯亀の触手をずたずたに裁った。

「触手プレイがお好みなんどすか?ええ趣味したはりまんなぁ」

バラバラと無残に落ちてゆく想いの欠片を見て、静留は雪之を嘲らった。

パープルスネークの六つの頭に弄り喰われていく出歯亀。
その時、雪之は絶対的な運命を感じとった―

HiMEが負ければ、愛しい人は消える

片時も忘れていなかったのに―
どうして今は―

「いやぁっ!遥ちゃんが!」

雪之は叫んだ。
消えるなんて絶対に嫌だ。

だが、刻は無常にも訪れる。

遥「くはっ―」

ずくんと胸刺した痛みに、遥は顔を顰めた。
自分の体から力が抜けていき、それが緑色の粒子となって溶けていく。

静留は、その様子を見て嘲らっている。
それを見て、遥はすべてを悟った―

転校生がミステリーサークルと共に現れたのも
裏山が削れたのも
軍隊がやってきたのも
このところの転変地異も

全部この力に繋がっている。
そして、それが雪之を苦しめ、泣かしているのだ。

「そういうこと」

ならば、私がすべきことは―
遥は、消え行く体で立ち上がると、静留に向かって歩き出した。

雪之「遥ちゃん」

相変わらず心配そうな声だ。

遥「見てて」

心配など必要ないのに。
なぜなら―

遥「あいにく私は、珠洲城遥なのよ・・・私は負けない・・・私は、正しい・・・人間の価値って―こんなへっぽこ手品じゃ決まんないのよぉ!!」

ほとんど動かなくなった体を投げ出すようにして、遥は渾身の頭突きを静留にお見舞いした。
そして、残りの力を振り絞って、執行部長の腕章を雪之に向かって投げた―

雪之、私は―

雪之が腕章をしっかりと受け取ったのを見届けて、遥は消え行く最後まで笑顔だった。

「遥、ちゃん・・・」

打ちひしがれる雪之に構わず、静留はくつくつと喉を鳴らして笑う。

静留「ばばちぃ花火やねぇ・・・」

そして、なつきに向かって、引き攣った笑いを浮かべると―

静留「もう、隠すこともない・・・なつき・・・うちが、プリンセスや・・・」
なつき「しず、る・・・」
静留「そうや、うちが他のHiMEもなんも・・・なつきの嫌なもんは、全部倒したるさかいな・・・待っといてな・・・」

風と共に北の方に向かって去っていった。

黎人「このサイトはもうダメだ」


なつきがやさしく髪を撫でてくれているのを感じるようになった頃―
彼女独特の堅い、でも、その手つきよりももっとやさしい声が耳元で聞こえた。

「そうやってすぐに泣くのが、お前の悪いところだ」

頭を撫でられながら、ふふっと笑われて、自分がまるで子供になったような気がした。
これまで誰にもそんな風に扱われたことはなく―
こそばゆいとか、気恥ずかしいとか、そんな気持ちがない交ぜになって―

「そうやってうちを泣かすのが、なつきの悪いところどす」

いつもと同じで、それでいて、少し違う音色の軽口がこぼれた。

なつきもそんな風に感じたのか―
いつもなら口を尖らせながら、ぶつぶつ言い返すところを、薄く笑ったまま―

「そうやってへりくつばかり言うのも、お前の悪いところだ」

と、苦笑しながら返してきた。

「なつきはいつも何も言わへんで、うちを不安にさせて―」

甘い空気そのままに軽く返した言葉に―

「やっと、本音を言ってくれたな」

なつきは、思いもよらない言葉を返してきた。

「私たちはよく似ている―」

同じように思っていた―
驚く静留に、なつきは真剣な表情で続けた。

「気持ちを言葉にするのが下手くそだ」

全ての感情を殺さなければ、いつか、想いが溢れてしまいそうで―
気持ちをごまかすことにもいつしか慣れていた。

「良いんだぞ。言って―いや、言ってくれないか。気付いてたんだ・・・お前が、まだ想いを殺していること」

時折鋭いこの愛しい人は、でも、やっぱり鈍感だ。
何よりもずっと欲しかったものは―
もうさっきもらったのに。
それでも、まだ、欲して良いと言うのなら―

「そしたら―」

夢に見ては、その儚さに枕を濡らし―
ついに涙も枯れ果てて、心はずっと砂漠のようだった―
そんな過去の自分に。

「さっき、お母はんに言うたこと、うちに言うて下さい」

きゅっと結んだくちびるがぴくりと震え―
なつきは、ゆっくりと口を開いた。

「わかった」

背中で、なつきの手がきゅっと緊張したのが伝わってきた。

「私は―静留のことを、愛してる」

ずっと焦がれていた言葉は、砂地に落とされた水のようにすっと染み入り―
心をいっぱいに満たして、そして再び涙となって顕れた。


「うれしい」






「あの、さ―」

永遠に続けばいいと思った甘い時間は―

「泣きやんだなら、離れてくれないか」

そんななつきの一言で終わってしまった。

ムードのない人と軽く睨むと、なつきは頬をぽりぽりと掻きながら目を逸らした。
そして、ちらちらと静留を盗み見ながら―

「さっきから・・・通っていく車が、みんな・・・見ていくんだ・・・」

言いにくそうに、切れ切れの言葉を口にした。

静留は道路を背にしているから気付かなかったが、道路脇にバイクを一台停め抱き合っている女二人はどのような目で見られていたのかは想像に難くない。

「あ・・・堪忍・・・」

ぱっと体を離すと、お互いにどうしてよいのかわからず、もじもじと体を動かし―
そして、どちらからともなく、くすりと笑った。

「さて、帰るか―」
「せやね」

と、言ったなつきは海を見ている。
静留もその視線の先を追って―

「うち、ほんまに・・・なつきが生まれたこと、なつきに出会えたこと、嬉しく思います。お母はんに―お礼言わなな」

うちはこの人を愛していますと。
静留は、そう、海に眠るなつきの母に伝えた。

海はただ凪いでいるだけで、応えてはくれないけれども―
ふわりと吹いたやさしい風が、後押ししてくれているような気がした。

もう、大丈夫。

静留は、閉じていたまぶたを開けると―
まだ海を見ているなつきに笑いかけた。

「今日は、なつきがようけもらえる日やのに―」

すべてを与えてくれたこの人に―
自分もできるだけのものを与えようと思う。

「帰ったら、なつきの好きなもんばっかでお誕生日会しましょうな」
「誕生日会?」

二人で誕生日会とは大げさな―
と、訝しげななつきに、静留はくすりと笑って言った。

「舞衣さんがカラオケの機械、持ってきてくれはるんやて」
「はいっ?!」
「“メガネっ娘アイドルなつき”―楽しみどすな」
「わ、私は歌わないっっ!―って、あいつが来るなんて聞いてないぞ!」
「あら?言うてへんかったかしら―」

静留は、人差し指を口元に、思い出してる風に首をかしげ―
そして、ぽんと手を叩くと―

「ちなみに、『あいつ』やのうて―『あいつら』どす♡」

そんな、サプライズを続けた。

「な ん だ と」

静留と舞衣が組んで、さらに他のHiME関係者が集まるなんて―
ろくなことになるはずがない。
泣きやんだ静留の代わりに、今度はなつきが涙目になった。

「泣いた鬼が笑った・・・」
「ん?何か言いました?」
「なんでも、ない・・・」
「なつき、置いて行きますえ。それとも、ヒッチハイクでもして帰るん?」

その場に動けないなつきを振り返り、口元を押さえて笑う静留の顔は―
さっきまで大泣きしてたとは思えないほどすがすがしいものだった。

「静留・・・さっきは、あぁ言ったけど・・・その性格、やっぱ直した方がいいと思うぞっ!」

なつきの情けない声が潮風に乗って―
気がつけば、二人はいつもの、でも一歩進んだ二人だった。
  1. 2010/10/17(日) 23:21:19|
  2. あい(舞-HiME SS)
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紫の水晶宮

ここは舞-(乙)HiMEの静留(シズル)・なつき(ナツキ)・奈緒(ナオ)への愛をこじらせるファンサイトです。版権元とは一切関係御座いません。勝手ながらR18とさせて頂いておりますので、18歳以上の分別のある大きなお友達だけ遊びにいらしてください。百合の花が仰山咲いておりますので、閲覧は自己責任でお願いします。 当サイトの全ての画像及び文章等の無断転載・引用はご遠慮下さい。

プロフィール

長澤 侑

Author:長澤 侑
性別:ネコ
属性:ヘタレな王子
特徴:ビタミンShizuru分が足りなく
    なるとヘタレる
持病:静留病
    (英名:シズル・シンドローム)
尊敬する人:
ヘタレの星玖我なつき
ヘタレ学園長ナツキ・クルーガー

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