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紫の水晶宮(Я18)

つれづれなるまゝに日ぐらし硯(PC)に向ひて心に移り行くよしなしごと(妄想)を、そこはかとなく(だらだらと)書きつくれば、怪しうこそ物狂ほしけれ(私の脳みそはもうだめだ・・・)

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だいすき④

舞衣「―で、何も分からなかったのね。要するに」
ナツキ「・・・そうとも言えるな」
舞衣「正面突破しようとするからよ」
ナツキ「だが、お姉さまの好みだぞ?お姉さまに聞かないで誰に聞くと言うんだ?!」
舞衣「周りの人とか」
ナツキ「周りか・・・」
舞衣「どの道ここにいたって始まらないんだから―行くわよ!」
ナツキ「―って、どこに?!」

トレーニングルーム

ナツキ「は、ハルカお姉さま―」
ハルカ「ふしゅー!ふしゅー!何よ?今忙しいの。あぁ゙~筋肉が燃えてるわ~!!」
舞衣「ちょっと質問がありまして―バレンタインのギフトのことで・・・ほら、ナツキ!」
ナツキ「あの・・・その・・・シズルお姉さまがどんなチョコレートがお好みかハルカお姉さまはご存知ではないでしょうか?」
ハルカ「ぶぶ漬けの?知らないわ」
ナツキ「そうですか・・・」
ハルカ「代わりに良い事を教えてあげるわ」
ナツキ「は、はい!」
ハルカ「バレンタイン必勝法!!押して、押して、押して、押して、それでもダメならフォークで刺す!!」
ナツキ・舞衣「ダメじゃん・・・」

同じ頃―

珠洲城の邸宅へと続く道を菊川雪之は歩いていた。
左手に白亜の豪邸を眺めつつ道なりに歩いて行けば、そこが雪之の家である。

珠洲城の家と、菊川の家の分かれ道―
雪之は、自宅の隣に建つ遥の家を見やった。
その家は大学生になった遥に、遥の父親が建てたものだった。
本邸とは違い一般的な一軒屋であったが、それでも遥が一人で住むには豪華であり、子供部屋として機能する離れとは言いがたい。

(あれ?―)

遠くから見てもいつもと様子が違う―
遥の家の玄関先に白いバンが停まっていて、開け放たれたドアからは珠洲城建設の作業服を着た男性達が慌しく出たり入ったりしていた。

(建てたばかりなのに、どうしたのかな・・・)

その家の設計を行ったのは、珠洲城建設で働く建築士である雪之の父親であるという事もあって、何が行われているのか気になった雪之は自宅へは向かわずに、遥の家へと続く小道を歩き始めた。



薄闇色に包まれた玄関から中に向かって声を掛ける―

「遥、ちゃん?」

一つ折れた廊下の先に見えるリビングから漏れる明かり―
そこから断続的に工具の音が聞こえる。
その音に掻き消されて、聞こえないのかもしれない。
雪之は声を掛けながら、遥の家に上がった。

「遥ちゃん?いないの?」

廊下を曲がると、まっすぐその先にリビングの入り口に立つ遥を見つけた。
腕組みをして不敵に笑いながら、作業の様子を見守っている。

「遥、ちゃん?もう、いるなら返事してよ」
「ふふふ。見なさい、雪之!」
「―って!ええっ~~!?」

見なさいと言いながら、入り口に立ちふさがる遥の肩越しにリビングを覗くと―
そこは、昨日までとは打って変わって、総ステンレスの巨大な厨房に様変わりしていた。

「これ・・・何??」
「業務用よ!!!」
「見ればわかるよ!!どうして業務用を入れたの?遥ちゃんそもそも料理しないじゃない!!というより、できないじゃない!!」
「おだまりっっ!」

ようやく振り返って、雪之を見ると遥は左手は腰、右手は後方のリビングを指しながら大仰に言ってのけた。

「いいことっ!ここは決戦の場になるのよ!!ふさわしいものにしなくちゃ!!」
「決戦???何の???」
「―!?」
「遥・・・ちゃん?」

先程まで不敵な笑みを浮かべていた遥であったが、雪之に質問された途端にその表情が固まってしまった―
しばしの間の後、遥が幾分小さな声で雪之に答えた。

「りょ、料理?」
「私に聞かれても、わかんないよ・・・」
「と、とにかく、あの女をここで迎え撃つ!!」
「あの女って・・・藤乃さん?」
「そうよ。他に、倒すべき相手がいるかしら?今度こそコッペパンにのしてやるんだから!!」

鼻息も荒くそう宣言をした遥―
だが、雪之からの反応は無く、遥の後方を見て固まっている。

「どうしたの?雪之」
「あの・・・後ろ・・・」

遥の後ろには、太い腕を組んで立っている作業員の姿があった。
あからさまにイラついた声で、そのおじさんは言った―

「こてんぱんだと思うんですがね。お嬢様」

おそらく、仕事の後に遥のわがままに付き合わされて、こんな作業を仰せつかったのであろう。
にもかかわらず、二人が出入り口に立っていたのでは、作業効率は落ちるばかり―

「古典パン?」
「・・・あはは。そ、そうですよね。さ、作業の邪魔になるから遥ちゃんのお部屋に行こう。し、失礼しましたぁ!!」
「あっ―ちょっと、雪之!!パンがどうしたって?!」
「パンの話はもういいから!!速やかかつ迅速に、部屋に行こうよ!!」
「速やかも迅速も同じ意味じゃないの?」
「いいから―」

雪之は遥の腕を取ってずりずりと部屋まで引っ張っていった―



なんとか遥を自室まで連れて行き、ベットに座らせると雪之はまるで子供に接するかのように問いかけた―

「それで、藤乃さんは何をしにくるのかな?」
「それは・・・」
「それは?」
「・・・どうしよう・・・聞くのを忘れたわ・・・」
「ええ?!な、何の話をしている時にそういう約束をしたのかな?」
「試験の・・・はっ!・・・まさか、あの女・・・私が試験を受けるのを妨害するのに、生物兵器を撒きに来るんじゃ・・・」
「たかが試験でそこまでする人はいないよ!」
「いいえ、あの女ならやりかねないわ。きっとそうよ!バイオエロイズムよ!!」
「テロリズムだよ、遥ちゃん!!」
「そう、それよ!これは、テロだわ。藤乃・・・ついに美脚を現したわね!」
「馬脚だよ!確かに藤乃さんは、美脚だけど・・・とにかく、落ち着いてよ!」
「お腹が痛くて試験が受けられないなんて・・・嫌よ・・・そんなの嫌~~~!!」

想像して腹痛を覚えたのか、ベットの上でのた打ち回る遥―
雪之はベットに腰掛けて、遥の肩に手をかけた。

「テロだったら、お腹痛いくらいじゃ済まないって!ね?」
「そ、そうね・・・あたしったら、取り乱しちゃって」

遥は、起き上がると雪之と並んで腰掛けた―

「たぶん藤乃さんは、チョコレートを作りにくるんじゃないかな?バレンタインも近いし」
「バレンタイン?」
「うん。だって藤乃さん、玖我さんと一緒に住んでるでしょう?だから―」
「だから、何よ?そんなの自分ちで作ればいいじゃない?!何で、わざわざ余所に来てまで―」
「ん~。それが、乙女心ってもんだよ、遥ちゃん!」
「はぁ・・・そんなもんかねぇ・・って!私は認めないわ!何なの?!試験前にバレンタインなんかに腰を抜かすなんて!だいたいバレンタインというものは―」

遥の講釈はまだ続いていた―
雪之はそれをぼんやりと聞きながら、藤乃静留という人物のことを思った。

彼女の想いを―ひた隠しにしていた大切な想いを―自分はあまりにも軽率に扱ってしまった。
ひどいことをした。
けれど、あの時はそれが正しいことだと思った―
今、隣にいる一番大切な人の為に。

祭が終わった後―
静留もなつきも雪之を責めたりはしなかった。
二人とも誰かの責任だと逃げたり、呪ったりせず、ただただ二人に降りかかったものに向き合い―
そして手に入れた、二人だけの関係を。

そこまで辿り着くのは、そんなに容易いことでなかったのを雪之は知っている。
一度崩れてしまったものを積み重ねて。
ほろほろと崩れてゆくものを、また積み重ねて―
そういう作業の末に、今の二人がある。
願わくば、あの二人がいつまでも幸せで過ごせればいい。

「―って、聞いてるの?!雪之!!」
「聞いてるよ。遥ちゃん」

あの頃自分にはなかった強さ。
あの時、まっすぐ遥にぶつかっていたなら―
何かが変わっていただろうか。
そんな強さが自分にもあればと、相変わらずな幼馴染を見ながら雪之は思った。
  1. 2007/03/25(日) 22:28:58|
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紫の水晶宮

ここは舞-(乙)HiMEの静留(シズル)・なつき(ナツキ)・奈緒(ナオ)への愛をこじらせるファンサイトです。版権元とは一切関係御座いません。勝手ながらR18とさせて頂いておりますので、18歳以上の分別のある大きなお友達だけ遊びにいらしてください。百合の花が仰山咲いておりますので、閲覧は自己責任でお願いします。 当サイトの全ての画像及び文章等の無断転載・引用はご遠慮下さい。

プロフィール

長澤 侑

Author:長澤 侑
性別:ネコ
属性:ヘタレな王子
特徴:ビタミンShizuru分が足りなく
    なるとヘタレる
持病:静留病
    (英名:シズル・シンドローム)
尊敬する人:
ヘタレの星玖我なつき
ヘタレ学園長ナツキ・クルーガー

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